みなさん、こんにちは!
スタイリストの大山 旬です。
久々にコーディネートの写真をたくさん撮ってきましたので、さっそく解説してみたいと思います。
今回のお題はベージュのステンカラーコートです。僕は正直、ベージュのコートというのが苦手でした。というのも、身長が164センチしかないため、できれば縦長シルエット、色合いはネイビーやブラックベースにまとめて、「できるだけシュッと見えること」を最優先してきたからです。
そのために、本来だったら「やわらかさ」とか「ラフさ」を感じさせてくれるはずのベージュからは距離を置いていたんですよね、自然と。でもスタイリストして、様々なお客さまをコーディネートしている中で、もちろんベージュのコートを使うことは少なくありません。
人が着ているのを見ながら、「いいな〜、なんかやわらかさが出るし、親しみやすいよな」と感じていました。そこで昨年の秋にビーミングで購入したのがこちら。人生初のベージュのコートです。MFSの撮影用と割り切って買ってみました(笑)
実際に着てみるとすごくいいですね。アウターという大きな面積を占めるアイテムが明るいだけで、こんなにも気分が変わるのか〜と新鮮な感覚なんですよね。
僕と同じように、アウターはネイビーやブラックばかりという方はぜひトライしてみてください。たしかに濃い色に比べると、シャープさだったり、スタイルの良さみたいな部分は出にくいかもしれません。
でもですよ、そもそも他人はこちらのスタイルの良さとかなんてそんなに気にしていませんよね。それよりも、パッと見で「感じがいいな〜」とか「親しみやすいな」と思ってもらえた方が遥かに印象はいいですよね。ベージュのような柔らかな色にはそんな好印象が詰まっているんだろうなと感じています。
まずはネイビーやブラックから揃えて、新たなバリエーションとしてベージュを追加してみるというのが良いのかなと思います。
ベージュのコートを使った2つのコーディネート例
さて今回はこのベージュのコートを使った着こなしを2つ提案します。それぞれの差を感じ取ってください。
まずは上の写真。ベージュのステンカラーコートにボーダーTシャツ、ブルージーンズを使った着こなしです。ちなみにボーダーTシャツはナノユニバースで990円、ジーンズはユニクロ、コートはビーミングライフです。どれもリアリティのある価格帯ですね。全部、MFSの撮影用に買っています。
僕がよくお話する「カジュアルときれいめのバランス」という理屈から言うと、ややカジュアルな雰囲気です。ボーダーTシャツ、ブルージーンズはカジュアルなアイテムですよね。しかも靴はスニーカーです。どれもラフさが溢れるアイテムと言えます。
唯一、ステンカラーコートは着丈が長く、元々ビジネスライクなデザインでもあるので、ここできれいさを足しています。このようなややカジュアル色の強い着こなしが似合いやすいのは30代くらいまでと考えた方が良いでしょう。
よく、30代と40代、もしくは50代で着こなしはどう違ってくるのですか?と質問をいただくのですが、1つの答えとして「きれいさの分量を歳を重ねるごとに増やしてください」と僕は伝えるようにしています。
歳を重ねるごとに「清潔感」や「フレッシュさ」というのは当然少しずつ失われていきます。それを服で補完することが目的なんです。ですので、この着こなしだと40代以降の方にはややカジュアルかなと思うんですね。そこで次の写真を見てください。
内側にシャツを着て、ボトムスをブラックのカジュアルスラックスに変えました。大分きれいめな雰囲気が漂うようになりましたよね。このように年齢やご本人のキャラクターによって、「どれくらいのきれいさを出すのか」を調整するといいですね。
僕の場合は完全なオフであれば前者を。ちょっとラフな仕事着なら後者を選びます。それぞれのシチュエーションによってきれいさを調整することがとても大切だということ。これが今回の主題です。
僕はトレンド感を出すために、襟が無いバンドカラーシャツを着ていますが、普通に襟付きのストライプシャツでもいいです。ボトムスはブラックジーンズでも構いません。このような2種類の着こなしを知っておくと、同じベージュのコートでも表情が変わって見えるのが面白いですね。
感覚的なファッションをいかに理屈で捉えるか。これはセンスを磨くためには大切な要素の1つです。ぜひ鏡の前で「カジュアルすぎないかな」とか、「ちょっとキメすぎじゃないかな」と悩みながら調整をしてみてください。
着用アイテム
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